[第1部/第06回]チーム・ネットリンチとの闘い

■チーム・ネットリンチとの「そもそもの話」〜ガサガサ②〜

 

 ファミレスに入るとガサガサは一目散にドリンクバーに直行し、「ドリンク一杯飲めばいつまででも店内にいられるよな、ハハハハ」と店内はかなり混んでいたにも関わらず、大声で笑うガサガサの声が店内中に響き渡り、お客の視線がガサガサに集まった。

  そんな事は気にもしないガサガサは席にどっかと座って私と向き合うと、グローバル資本主義がいかに駄目かだとか、与野党政治のプロレスぶりが駄目だとか、政治的不満を洗いざらい挙げ始めた。大きな声で時折感情を激昂させながら怒鳴り口調で、「政治家なんてクソなんだよー、自民党や、特に公明党なんてよ、許せねーよ」とがなり立てた。

 あまりの大声なので、「ボリューム落としなよ」と私は注意した。隣に座っていた老夫婦は怪訝な顔をしてガサガサを睨んでいたが、暫くして、老夫婦同士、目で合図をして、トレイを持って立ち上がり席を立ってしまった。

 「そもそも選挙なんて制度が無意味だからなー」ガサガサは周囲の空気など感じ取ることなく、終始不満をぶちまけていた。

 

 自分の声をコントロールできない者は何らかの欠陥があるのではないかと私は思っていたが案の定、ガサガサは自らが⚫⚫⚫⚫症である事を私に伝えた。「クスリは飲んでないんですけどね、今は落ち着いています」

「あ~あ、落ち着いているんだぁ」と心の中で私はボヤいた。

 あまりにもガサガサが興奮しているので早々にファミレスを出ようとガサガサに声がけした。

 

 ファミレスを出ると空はどんよりと曇っていた。私の気持ちも同様だった。

 「楽器屋に行きたい」とガサガサは言い出した。私も譜面台を購入したかったので、楽器屋に立ち寄り、買い物をしたらタイミングを見てガサガサと別れて帰宅しようと考えた。

 楽器屋を出たあと、すぐさまガサガサは腹が減ったと訴え始めた。あまり気乗りしなかったが地下ショッピングモールにあった喫茶店でコーヒーとサンドイッチを食べる事になった。本心を言うと悪役プロレスラー風のスキンヘッドの男とお茶をしている自分が嫌になった。本来は野党共闘の応援を、新しい形の市民運動について大いに話をするはずだった。私のツイキャス配信でもその趣旨は伝えていたはずだが、会って以来、このガサガサは食物の摂取ばかりをしているようにさえ感じた。周囲は楽しそうなカップルや家族連れでにぎわっていたが、私は巨体を揺らすスキンヘッド男と冴えない表情で苦いコーヒーを飲んでいた。

 ひとしきりガサガサの食物摂取が終わると、いきなりタブレットを取り出し「北部の野郎のディスり放送でもしますか」と言い出し、一般客がいる中、ツイキャス配信を始めた。「はい、皆さん、ガサガサでございます。おいおい、北部!テメーわかってるだろうな」タブレットに向かって凄むガサガサの目つきがとりわけ異様だった。